【さくらねこ便り】飼い主のいない猫への餌やりに関して条例に規定することについて

こんにちは、どうぶつ基金事務局です。

こんな条例案が通ってしまったらどうなるのか-。
野良猫たちの命と幸せを脅かす
「沖縄県動物愛護及び管理に関する条例(案)」の第13条。

第13条   何人も、飼い主のいない猫に対し、
県又は市町村が定める方法によらず、

    給餌又は給水を行ってはならない。

私たちはこの第13条に大きな懸念を抱き、条例案からの餌やり禁止条項の削除を
求めて署名活動を開始し、2024年1月23日付で沖縄県知事と沖縄県議会議長あてに
第13条の削除を求める要望書とオンライン署名25,750筆、自筆署名2,730筆
(うち58筆は他の都道府県在住者によるもの)を一次提出いたしました。

本日は、この署名活動に関連して
元・練馬区保健所職員で地域猫活動アドバイザーの石森信雄様から
寄稿をいただきましたのでご紹介します。

ぜひご一読ください。

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飼い主のいない猫への餌やりに関して条例に規定することについて

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地域猫活動アドバイザーの石森信雄様

私は、沖縄の人々が大好きです。
そして、沖縄のことは沖縄の皆さんで決めるのがよいと思っていますので、
本件についても、できる限り現地の皆さんの思いを尊重したいという考えです。
それを前提とした上で、大きなお世話ながら、
私なりの考えを述べさせていただきます。
私の小さな論考が、沖縄の皆さんのお役に立つことを切に願っております。

これまでも、いくつかの自治体で、動物への餌やりについて一定のルールを示す
条例が制定され、そのたびに全国の動物愛護家の皆さんが危機感を覚え、
大きな問題となってきました。
自治体はなぜ、騒ぎになることが想定されているのに、
条例で餌やりについて規定しようとするのでしょうか。

餌やり行為の一部には、近隣環境を著しく悪化させている事例があります。
行政担当者は、そのような事例の対応に苦慮しています。
餌やり行為への対応について何も根拠がないと、どんなに酷い有様だとしても、
『お願い』しかできません。当然、困っている近隣住民の納得は得られず、
板挟み状態の中で、心のバランスを崩す職員もいます。
条例化を検討している背景には、行政現場の疲弊もあるのではないかと推察します。

条例化していない場合は、餌やりしている方に対して
「ご近所がお困りですから、止めてもらえませんか?」と、
『ご近所が困っている』ことを根拠にして話をします。

一方で、条例化したら、『条例に照らして違反的である』ということを根拠として、
現場対応することになります。このため、条例で何を示すかが重要となってきます。

餌やり現場の状況は千差万別ですから、「これはアウト。これはOK。」
というように、ルールを作って単純に当てはめることには馴染みません。

何をもって迷惑な餌やりとするのかを客観的に線引きするのは、極めて困難なのです。
もしも明確にルールを定めたら、行政は個々の事例ごとに
「これはアウト。これはOK。」という判定をせざるを得なくなります。
しかし、前述のように餌やり現場の状況は千差万別ですから、
その判定は極めて困難な作業となります。
反論に耐えられるよう、判定の客観性を担保する仕組みも必要でしょう。

こういったことから、条例に規定するのであれば「飼い主のいない猫に給餌する
ときは、地域環境の悪化とならないよう十分な配慮をすること」のように、
誰もが納得できるような基本的方向性を示す文言の記載に留めるのが、
現実的であるように思います。

今回の件につきまして、沖縄の皆さんが安心、納得できる結論となることを
切に祈っております。

地域猫活動アドバイザー 石森信雄

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沖縄県の本条例案は、2月の県議会で決議され、6月から実施される予定です。

1月16日に沖縄県動物愛護センターで地元団体に対して説明会が行われましたが、
「13条の文言は変更になるが、変更後の内容については修正中で公表できない」
という旨の説明を行ったそうです。「変更するが変更後の内容は決まっていない」
さて、これは説明になっているでしょうか。

飼い主のいない猫の問題は、餌やりを禁止したところで解決しません。
沖縄県では、35の市町村がどうぶつ基金の協働行政として
「さくらねこ無料不妊手術事業」に参加しており、
県内の市町村の多くはその現実を嫌というほど実感しているはずです。

今回の条項は、35の市町村がこれまで積み上げてきた努力を無駄にし、
沖縄県の野良猫問題の解決に大きなブレーキをかけるものです。

どうぶつ基金は引き続き、本条項の削除を求めて活動してまいります。

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