2_宮城県気仙沼市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)

申請No.2
申請日:2026年4月3日
申請/実施責任者:宮城県気仙沼保健福祉事務所
場所:宮城県 気仙沼市
居住者:当事者(54歳、女、無職)、家主(66歳、男、土木作業員)、家主の妹(60歳、女性、無職(要介護))
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:40頭(当初50頭で申請していたが、捕獲時に40頭と判明)
手術日:4月27日、6月15日
協力病院:にじのはしスペイクリニック宮城分院
チケット発行数:50枚(手術済み2頭を除く50頭分を申請)
手術頭数:37頭(1頭は幼齢のため未手術、13頭は頭数相違のため未使用)
協働ボランティア:個人ボランティア

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

  1. 当事者はもともと手術済みの猫を2頭飼育していた。5~6年前に豚熱が発生したことを理由に、当事者が勤務していた養豚場に生息していた猫8頭を排除しなければならなくなり、当事者が保護して飼い始めた。
  2. 体調不良による退職で収入がなくなり、家主の妹の介護で自宅を空けることもできず、不妊手術ができないまま猫が繁殖。猫は室内外を自由に行き来し、野良猫も迎え入れるようになったことで頭数が増加。
  3. 近隣住民から糞尿被害の相談を受けて当事者宅を訪問したところ、多頭飼育状態であることが発覚。室内で雌雄を分けて飼育し、不妊手術を行うよう指導を行った。
  4. しかし、屋根の崩落で天井裏から室外に出入りができる状況で室内飼育を徹底できず。また、家主が雌雄を分けて飼育することに反対したことから、こちらも実現できなかった。
  5. 当事者は車を持っておらず、動物病院に行くこともままならない。また、収入がなく自力で不妊手術を行うことは難しい。当事者からは、働けるようになったら1頭ずつでも手術したいとの申し出があったが、働く目途は立っておらず、1頭ずつ手術しても繁殖速度に追いつかない可能性が高いため申請に至った。
  6. 当事者宅から病院まで往復4時間程度かかり、搬送を8~10回に分ける必要がある。さらに、現場の猫は当事者でも触ることが難しく、少数ずつ捕獲した場合、捕獲器等を学習した個体が捕まらず全頭手術が達成できない可能性も考えられる。一斉に捕獲・手術して問題を速やかに解決するため、移動手術車による往診で手術を行った。
  7. 当初は50頭と申請していたが、実際には40頭であった。そのうち2頭が手術済み、1頭は幼齢のため手術できず。残る37頭がチケットを利用して手術済みとなった。未手術の幼齢猫1頭については、成長を待って当事者にて不妊手術を行う予定。当事者が全頭を引き続き飼養する。
  8. 家屋の損傷等はあるものの、衛生環境が著しく悪い状態ではなかった。より一層の清掃・整理整頓を助言し、おおむね適切に管理されている。
  9. 猫たちの術後の経過は良好、特段の問題は見受けられない。トイレを増設したことで飼育環境も改善された。
手術日オスメス耳カットのみ計
4月27日1123034
6月15日2103
計1324037

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
事案探知当初、当事者は非協力的な面もあったが、不妊手術の必要性を粘り強く説明して対応を続けたところ、態度が徐々に好転し、良好な信頼関係のもとで事業を進めることができた。手術当日に向けての捕獲作業も、人馴れ度合いに応じてケージ、キャリーケース、捕獲オリを使い分けることで円滑に行うことができ、ほぼ予定どおり手術を遂行できた。
一方で、チケット申請時期が年度をまたぐとの理由で年度明けとなり、実施時期が遅くなってしまったことが悔やまれる。メスの多くが妊娠中で堕胎措置となり、妊娠後期の猫も少なくなかった。また、死産を含め、手術日前に出産してしまった猫もおり、さらなる頭数増加のリスクを伴うスケジュール進行となってしまった。

どうぶつ基金スタッフコメント
今回は病院までの距離や猫の状態を考慮し、病院の協力を得て往診での対応となりました。この場を借りて、現場まで足を運んでくださった「にじのはしスペイクリニック宮城分院」様にお礼を申し上げます。
当事者は、当初は手術済みの猫2頭と問題なく暮らしていたことと思います。豚熱発生による勤務先での「猫の排除(とても嫌な言い方です)」、これが当事者の暮らしを狂わせた大きな要因の一つです。なぜ従業員である当事者が猫8頭を引き取らなければいけなかったのか、それ以外に関係各所で責任ある命の取り扱い方はなかったのかー。「排除」と言いますが、命あるものです。簡単なことではないからこそ、今後同様のことが起こった時にどうするのか、それを想定して対策をとっていただきたいと思いました。
行政のご尽力によって当事者が前向きな気持ちになれたことで、全頭手術という最初の大きな目的を達成することができました。年度をまたぐ申請についても今後の課題として受け止め、改善していけるよう当基金としても努めていきたいと思います。


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