福岡県 ねこ殺処分ゼロへ 100万人の願い「殺処分ゼロのために動物愛護センターで野良猫8,000頭の無料不妊手術をしてください」要望書、署名を提出。
2月1日(水)福岡県知事あてに「野良猫の避妊・去勢手術の実施に関する要望」を提出しました。要望書は、福岡県内19市町の首長(総人口95万人)らが連名し、署名は5万筆集まりました。
犬や猫の殺処分ゼロを目指す公益財団法人どうぶつ基金は、 服部 誠太郎福岡県知事と桐明 和久福岡県議会議長あてに要望書と署名を提出しました。 要望書は、 日本獣医師会前会長の山根義久氏、 福岡大学教授の山崎 好裕氏、 弁護士の朝隈朱絵氏のほか、 県内19市町(総人口95万人超)の首長が連名し、 署名5万筆とあわせ福岡県民約100万人の願いが届けられました。
どうぶつ基金では21年度から福岡県みやま市と筑後市に毎月3日間オープンする「どうぶつ基金病院」を開設、 12月までに5,567頭の無料不妊手術を行ってきましたが、 市町村からの申請数は1万を超え県民の需要を満たせていませんでした。 どうぶつ基金病院は当初の予定通り23年3月末で閉院することが決まっているため、 来年度からは福岡県動物愛護センターで行政獣医師による無料不妊手術8,000頭を行うよう要望しました。
署名数 ※2023年1月31日15時現在(速報値)
福岡県民:自筆署名 14,097筆
福岡県外:オンライン署名 36,354筆
合計 50,451筆
連名行政:福岡県下9市長、10町長
総人口952,854人
賛同動物愛護団体(福岡県内):33団体
以下、要望書全文
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野良猫の避妊・去勢手術の実施に関する要望
以下、連名にて要望書を提出いたします。
公益財団法人どうぶつ基金 理事長 佐上邦久
公益財団法人動物臨床医学研究所 理事長/公益財団法人日本獣医師会 前会長 山根 義久
福岡大学教授 山崎 好裕
弁護士 朝隈 朱絵
福岡県 19市町(市町村五十音順)
芦屋町 町長 波多野茂丸 / 宇美町 町長 安川茂伸
大野城市 市長 井本宗司 / 小郡市 市長 加地 良光
粕屋町 町長 箱田彰 / 川崎町 町長 原口正弘
香春町 町長 鶴我繁和 / 古賀市 市長 田辺一城
篠栗町 町長 三浦正 / 志免町 町長 世利良末
新宮町 町長 長崎武利 / 添田町 町長 寺西明男
太宰府市 市長 楠田大蔵 / 筑紫野市 市長 平井一三
那珂川市 市長 武末茂喜 / 筑前町 町長 田頭喜久己
福津市 市長 原崎智仁 / 宗像市 市長 伊豆美沙子
行橋市 市長 工藤政宏 / 吉富町 町長 花畑明
令和5年2月1日
福岡県知事 服部 誠太郎 殿
福岡県議会議長 桐明 和久 殿
野良猫の避妊・去勢手術の実施に関する要望
福岡県における野良猫の不妊・去勢手術実施拡充を要望します。
1.福岡県動物愛護管理センターにおいて野良猫の不妊・去勢手術対象を譲渡対象のみならず対象拡大
2.福岡県動物愛護管理センターにおいて野良猫の不妊・去勢手術対象を収容猫のみならず対象拡大
3.県設置保健所にて野良猫の不妊・去勢手術等を実施できる環境整備
4.現在の野良猫の不妊・去勢手術数を県下の現状に合わせ年間8,000頭以上に拡充
5.上記実施の予算確保及び人的配置
猫は、繁殖力が強く、多くて年3回程度、1回の出産で4~7頭の子猫を産みます。その子猫も半年もすれば妊娠可能となり、環境省によれば、1匹のメス猫が3年後には2,000頭以上になると試算されています。
また、野良猫による糞尿被害や多頭飼育崩壊等での地域住民のトラブルは後を絶たず、社会問題となっています。
これらのことから、野良猫の数を減らすには、いかに出産数を減らすかがポイントになっていることは明らかです。そして、出産数を減らす最も現実的・効果的な方法は、メスに対する不妊手術、オスに対する去勢手術の実施となります。
現在、この考え方に基づく野良猫対策は日本全国に広まり、各地の動物愛護団体や市町村や市民が、野良猫を捕獲して(T=trap)、不妊手術を施し(N=neuter)、元の場所に戻す(R=return)という通称「TNR活動」を実施しています。
公益財団法人どうぶつ基金は、無料不妊手術によって全国でTNR活動を支援しており、福岡県内での支援件数は、2018年度から2021年度までの4年間で5,049頭に上り、福岡県における野良猫の個体数の抑制に極めて大きく貢献しております。
福岡県60自治体のうち、地域猫活動の困難に直面している27の自治体が 、TNRを希望する自治体として公益財団法人どうぶつ基金に登録して無料不妊手術チケットを申請し、市民や動物愛護団体、自治会等との協働のもと、配布されたチケットによって公益財団法人どうぶつ基金の協力病院で野良猫の手術を実施しております。
また、令和3年度は筑後市に、令和4年度はみやま市に期間限定で「どうぶつ基金病院」を開院し、「TNR地域集中プロジェクト」として一斉TNRに取り組み、令和3年4月から令和4年12月現在までに6,177頭もの飼い主のいない猫に避妊去勢手術を実施しています。
しかしながら、みやま市にある「どうぶつ基金病院」は令和4年度をもって閉院することが決定しております。このままでは、また野良猫が増えることとなり、野良猫の虐待や住民トラブル等も増加するのではないかと大変危惧しております。
この状況を打開するためには、福岡県行政における8,000頭以上の無料手術の実施が不可欠です。8,000頭という数字は無謀に感じるかもしれませんが、これは、一民間団体である公益財団法人どうぶつ基金がみやま市にある「どうぶつ基金病院」において、数名の獣医師かつ月に3日間のみ開業して行う無料不妊手術数のわずか2倍です。数十名の行政獣医師を有する県が真摯に取り組めば、年間数万頭の無料不妊手術は実現可能です。
具体的には、行政獣医師4人が一人当たり25頭の不妊手術を行うと1日で100頭になります。これを毎月6~7日間、年間にして80日ほど実施すれば1年間で8,000頭の不妊手術が可能です。
臨床経験のほぼない行政獣医師に1日25頭の不妊手術は不可能と思われるかもしれません。しかし、令和4年4月から公益財団法人どうぶつ基金が熊本市で実施しているプロジェクトでは、手術経験がほとんどない、あるいは大学卒業間もない行政獣医師に手術の技術指導を行っております。
公益財団法人どうぶつ基金のエキスパート獣医師から技術指導を受けた3名の行政獣医師は、すでに1頭あたり5~30分程度で手術を終えることができるまでとなり、現在では1日25頭程度の手術を一人で行っています。福岡県においても、要請があれば公益財団法人どうぶつ基金から技術指導を行うエキスパート獣医師を派遣することも検討いたします。
令和3年度から福岡県で実施している「TNR地域集中プロジェクト」では、福岡県内の各自治体職員と多くの市民による努力で6,000頭を超える野良猫に不妊手術を受けさせることができています。ボランティア団体や多くの一般市民による保護活動やTNR活動、TNR後のマネージメントが猫の殺処分数減少に寄与していることは周知のとおりですが、多大な労力と金銭的な負担がのしかかっています。
今後は、啓発の強化とともに各保健福祉環境事務所と自治体、県民の協力連携の強化が必須であり、多くの県民のこれまでの努力を無駄にしないためにも、福岡県自ら取り組んでいただきたいと考えております。
つきましては、我々のTNR活動の趣旨をご理解いただき、福岡県動物愛護管理センターにおいて野良猫の不妊手術拡充を強く要望致します。
(賛同団体一覧 福岡県内33団体 ※順不同)
特定非営利活動法人SCAT / PETS8 / 相島猫の会 / cocoねこ / にゃんチーム
あにまるはーと / 全世界の犬猫の殺処分を廃止にする会 / 一般社団法人 福岡ねこともの会 Assaut
てくてくさくらねこの会 / 妙見町地域猫 / ねこ99福岡 / おちゃねこ八女
福岡地域ねこ連絡協議会 / 非営利活動法人あおぞら / マックルハウス / [sakuraneko]
地域ねこサポート会ちくしの / ねこ善 久留米 / cat angel family / Kogaねこ
黄色い猫じゃら / 紡ぐ猫 / うたたね / 筵内地域猫の会 / マチネコ / 新宮猫の会
NPO法人Companion Animal Trust, Nippon / ネッコワーク / 猫スケの会
一般社団法人猫たちの命をつなぐ会 / 西公園マネージメントの会 / 保護っ子ハウス
要請書全文 ここまで
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参考資料
さくらねこTNR 実績
全国
2021年度 53,499頭
2022年4月―12月まで 45,780頭
21年4月–22年12月の合計 99,279頭
福岡県
2021年度
福岡県協力病院(5件)2021年度 909頭
どうぶつ基金病院筑後 2021年度 2,614頭
相島(新宮町)出張手術 150頭
小計 3,673頭
2022年4月―12月まで
福岡県協力病院 1,468頭
どうぶつ基金病院みやま市 2,953頭
小計 4,421頭
21年4月–22年12月の合計 8,094頭
※速報値、どうぶつ基金病院筑後市、みやま市に(佐賀県、熊本県、山口県)から持込まれた猫581頭を含む