はじまりのさくらねこ

はじめまして。
この春、さくらねこTNRデビューをしました、どうぶつ基金協働ボランティアの中村仁美です。東京都在住の主婦で、5匹の愛猫、そして里親募集中の保護猫たちと暮らしています。
今年の4月に、一般枠の無料不妊手術のチケットを使わせていただき、さくらねこを誕生させることができました。さくらねこサポーターのみなさま、どうもありがとうございます。

個人でのTNRは初めての経験でしたが、猫にまつわるボランティア活動はライフワークになりつつあり、「さくらねこ」という言葉が誕生した、どうぶつ基金と石垣市による全国初の官民協働による大規模一斉TNR(2012年10月)にボランティアとして参加しています。

当時、私の仕事は猫雑誌の編集長で、よく取材旅行に出かけていました。2012年春、沖縄県石垣島本島に出かけたときのこと。「大きな青い橋を渡った無人島が公園になっていてたくさんの猫が住んでいる」と島人に情報をもらい向かったところ、なんとそこは飼えなくなった猫の捨て場になっていたのです。

車のエンジン音を聞きつけ、植栽の中から次々と飛び出してくるやせ細った猫たち。至るところに不法に投棄されたゴミが転がっており、ここでは猫もゴミなのだと直感しました。私は猫たちに何もしてあげられず、だからといって目を背けることもできませんでした。
美しい楽園で暮らすかわいい猫だけを切り取る仕事に違和感を感じた私は、意を決し、島の捨て猫問題に向き合っている方を探し出して取材をお願いし、不妊去勢手術をせずに猫を飼う人が多い島の現実も含めて、記事にしてしまったのです。

これは大きな波紋を引き起こし、発売当初はお叱りを受けることもあり、取り返しのつかないことしてしまったと落ち込んだ日もありました。しかし、私の知らないところでたくさんの方々が猫のためにと、各方面に働きかけていたのです。そして、石垣市は、野良猫に不妊去勢手術を施し一代限りの命を見守りながら公園本来の姿に戻す「南の島猫アイランド事業」を決定し、どうぶつ基金による大規模一斉TNRが行われることが決まりました。その吉報を聞きつけた私は、いてもたってもいられず、事前に動物病院で手術補助のトレーニングを受け、猫雑誌の取材兼ボランティアスタッフとして石垣島へ向かいました。

さらに幸運なことに、取材中、どうぶつ基金の佐上理事長と、石垣市長と会談する機会に恵まれました。そこで、当時「みみ先カット猫」と呼ばれていた手術済みの猫の名称について、親しみを感じる愛称に変えてみてはどうでしょうかと提案させていただいたのです。

その時、真剣に耳を傾けてくださった佐上理事長の決断が、なんと速かったこと! その場ですぐに話し合いが始まり、手術済みの印が施された猫の耳に、日本の美しい桜の花を重ね合わせ、「さくらねこ」という言葉が誕生しました。そして、みんなで「この石垣島からさくらねこ前線を北上させていこう!」と熱く語り合ったのです。

あの日のスピーディな展開には大変驚かされましたが、その後もどうぶつ基金の有言実行の大躍進はとどまることなく、さくらねこTNR事業がスタートし、どうぶつ基金と協働ボランティアのみなさんのご尽力により2019年(5月現在)までに90180頭のさくらねこが誕生し、さらには「さくらにゃんにゃん」の語呂合わせにより、3月22日は「さくらねこの日」として制定されました。さくらねこという言葉を聞くと、殺処分ゼロにつながるTNRの意義や、その根底にある猫を愛する人々の優しい想いまで、広く伝わっているように感じ、とても嬉しく思っています。

さて、ささやかな私個人でのさくらねこTNRデビューは、我が家から片道1時間以上かかる隣県に出かけたとき、野良猫に餌をやる高齢者に遭遇したことから始まりました。餌やりさんは近隣の目を恐れ、猫が増えることに怯えながらも、餌を与えていました。餌やりさんは、猫の繁殖力や不妊去勢手術の重要性はよくご存知でしたが、慣れていないから捕まえることはできないし、歩いていける近所の病院では1頭25000円くらいかかるし、近所に手伝ってくれる人もいないから無理だというのです。

ここで私が見て見ぬ振りで通り過ぎてしまったら、猫の数はあっという間に増えてしまうかもしれません。調べてみると、行政の補助金もあるようでしたが、私は県外の住民ですし、高齢の餌やりさんに手続きをお願いするのは時間がかかりすぎます。私ができることは何かと考えた末、個人枠のさくらねこTNRが一番だと思いました。自宅から離れた場所ではありますが、さくらねこのTNRのモットーである「スグやる」「全部やる」「続ける」ことはできると判断し、無料不妊手術のチケットを申請しました。

はじめての個人TNR

無事に申請が受理されチケットが届き、捕獲に備え、捕獲機を1台購入しました。ベテランボランティアの皆さんの前でお恥ずかしい話ですが、1台あれば捕まえて、キャリーに入れて…を繰り返せると軽い気持ちでいたのです。

この甘い考えを、同じくどうぶつ基金の協働ボランティアに登録している先輩が見抜いてくださり、足りない捕獲機を準備してくださっただけでなく、捕獲を手伝ってくださいました。実際にやってみると、野良猫を捕まえるというのは、なんと難しいことでしょう! 同じ志の仲間の協力なくしては、できないことでした。

その後、捕獲し損ねた1匹が、間もなく交通事故で死亡してしまうという悲しいこともありましたが、猫たちの不妊手術をしたことで、餌やりさんとご近所さんとの関係がよくなったという嬉しい報告もいただきました。人の暮らしに密接に関わるさくらねこTNRは、猫だけでなく人の幸せとも繋がっていることを実感しています。

写真は石垣島で撮影されたものです

さくらねこTNRは、捕獲して協力病院に連れて行くことができるならば、行政区画に囚われることなく日本全国からインターネットで申し込みできるので、利用しやすく平等なシステムだと感じています。日本全国津々浦々に協力病院が増えて、たくさんの人や猫が恩恵を受けられる環境となり、愛らしいさくらねこが次々と花開くことを願っています。

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