14_群馬県渋川市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)

申請No.14
申請日:2023年5月10日
申請/実施責任者:渋川市 環境森林課
場所:群馬県 渋川市
居住者:当事者本人(70歳、女性、調理師)
居住環境:持ち家/一戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:17頭(当初15頭だったが申請後に2頭生まれ17頭になった)
手術日:2023年5月27日
協力病院:ふー動物病院 群馬分院
チケット発行数:15枚
手術頭数:13頭(3頭(成猫2頭・子猫1頭)が手術前に亡くなり、子猫1頭はボランティア団体の費用負担で手術予定)
協働ボランティア:NPO法人 群馬わんにゃんネットワーク

申請から不妊手術完了までの経緯(行政報告書より)

  1. 20年程前に当事者の父親が庭に来た1頭の野良猫(シャム猫の雑種、メス)を飼い始めた。
  2. 不妊手術をしないまま室内外を自由に行き来させていたため、近所の猫と交配し妊娠出産を何度か敷地内で行い、増えてしまった。当事者の父親が増やし始め一時は家の中に33頭おり、10年前にその父親が家から全部の猫を外庭に出し、現在に至る。
  3. 外に出しているため、近隣の苦情は気になるが、亡くなった父親が世話をしていた経緯があるため、当事者自身にあまり困った様子はみられない。外で毎年子猫が数頭生まれては、死んでいくため、ここ数年は15頭〜20頭である。近隣住民及び自治会からの糞尿等の被害相談で多頭飼育が発覚した。
  4. 申請に至るまでに当事者に、汚れたままの餌皿を清潔にする、定点定時の餌やり、庭にトイレの設置、具合の悪い猫の治療を行うよう指導。
  5. 猫の多頭飼育により、周辺の生活環境が悪化しており、当事者は単身世帯で金銭的余裕がなく、手術費用等の負担が困難なため申請に至った。
  6. 15頭で申請したが、申請後に2頭子猫が生まれたため、総数17頭となった。
  7. 総数17頭の内、3頭は手術前に死亡し(子猫1頭含む)、13頭は不妊手術済み。残る1頭は子猫のため、ボランティア団体が保護し不妊手術を行う予定。13頭は今後も当事者が飼育していく。
  8. 支援後、出したままのフードは定点定時に出すこと、子猫については、成猫と同じフードではなく、食べやすいものを用意すること、牛乳・肉など人間の食べ物は与えないことを指導した。猫が床下に入り込んでいる様子で、発泡スチロール箱やダンボールの中に毛布などを用意してもらう。田舎のため、ヘビや蚊・ハエが多く、たまりおきの水やごみの撤去をし飼育環境はある程度改善された。
手術日 オス メス 耳カットのみ
5月27日 4 9 0 13
4 9 0 13

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(行政報告書より)
もう少し早く着手していれば、亡くなった成猫、子猫も助けられたかもしれない。本人が昔ながらの飼い方をしているため、なかなか環境が整わず、今後も指導が必要と考えられる。


どうぶつ基金スタッフコメント
行政からの報告では、飼い主だった当事者の父親は飼っていた猫が妊娠出産を経て増えたのち、増やし始めたとあります。そしてその後、家にいた猫をすべて家の外へ出したとあります。猫たちは生きているのです。モノではありません。その振る舞いには飼い主たる自覚を全く感じません。また、飼い主であった父親が亡くなった後は、家族である当事者と猫が残されることになります。しかしながら、不衛生かつ毎年子猫が生まれては死んでいく環境を近隣から苦情がありながらも放置していた当事者自らも解決に動けなかったことは悔やまれます。今回は行政が関与したことから発覚して支援につながりましたが、この段階で支援の手が入ってよかったと感じます。当事者が継続して飼養できるか、行政は見守り指導をお願いしたいと思います。


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