68_埼玉県さいたま市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.68
申請日:2023年1月25日
申請/実施責任者:さいたま市動物愛護ふれあいセンター
場所:埼玉県さいたま市
居住者:当事者本人(79歳、女、無職)、息子(54歳、会社員)
居住環境:持ち家
生活保護の受給状況:不明
多頭飼育現場の猫の総数:43頭(61頭で申請するも実際は43頭だった)
手術日:2月25日、3月11日
協力病院:おおにし動物病院、もも動物病院(病院の受入状況により2病院での対応となった)
チケット発行数:60枚(申請時点で手術済みだった1頭を除く60頭分を申請)
手術頭数:43頭
協働ボランティア:一般社団法人彩の猫
申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)
- 猫の飼育は2020年2月頃からである。外で餌をやっている猫について近所からの苦情を受け、室内で飼育を始めた。
- 当初は3頭であったが、不妊手術をしていなかったため繁殖した。
- 議員からの相談により事態が発覚。不妊手術の実施と猫の譲渡先を探すよう指導した。
- 当事者には収入がないため、同居の息子に手術費用を出してもらう必要がある。しかし、当事者は息子と猫のことでもめており相談できない状況で話が進まないため申請を決定。
- 当初、猫の頭数は61頭で手術済みの1頭を除く60枚のチケットを申請したが、実際は43頭だった。
- 支援後に行政職員である程度の清掃を行ったことで臭いはやや緩和された(まだ少し残っている)。清掃によってゴミが片付けられ、猫が自由にできるスペースが増えた。
- 当事者から支援後の猫の引き取り要請があったが全頭は不可。健康状態の悪い猫を含め9頭がボランティア団体に引き取られた。残る34頭のうち1頭が支援後に脱走し行方不明。
- 当事者宅には現在33頭が飼育されているが、ボランティア団体を通して里親探しを行う。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
2月25日 | 13 | 17 | 0 | 30 |
3月11日 | 6 | 7 | 0 | 13 |
計 | 19 | 24 | 0 | 43 |
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
できうる限りのことはできたと考える。
どうぶつ基金スタッフコメント
多頭飼育崩壊へのきっかけとなったのは、近隣住民からの苦情でした。苦情の内容について詳細は不明ですが、同じようなケースから想像すると「餌をやるな」「餌をやっている=飼い猫だから外に出すな」といった内容であったのではないかと思います。
しかし、地域の猫問題は餌やりをやめても解決しませんし、餌をやっている猫=飼い猫ではありません。未手術の猫を室内飼育にすればどうなるか、少し想像すれば簡単に分かります。当初、当事者が餌をあげていたのはたったの3頭、この時点で不妊手術の実施を勧めることができていれば、地域のなかで多頭飼育崩壊を生みださずにすみました。
このような事例は全国で数多く発生しています。そのすべてにおいて当事者に責任があることは否定しませんが、当事者の責任を追及するばかりでは問題は解決しません。地域のなかで猫問題に対する考え方を変えていかなければ、また新しい多頭飼育崩壊が生まれます。行政の広報力は思った以上に大きいもの。多頭飼育崩壊への対応はもちろん重要ですが、それ以上に啓発と予防にその広報力を活かしていただきたいものです。