38_埼玉県東松山市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.38
申請日:2022年10月20日
申請/実施責任者:東松山市 環境政策課
場所:埼玉県東松山市
居住者:当事者本人(71歳、自営業)、妻(57歳)
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:47頭(手術済み1頭を含む50頭での申請であったが実際は47頭であった)
手術日:11月14日、21日、28日、12月5日
協力病院:堀どうぶつ病院
チケット発行数:49枚
手術頭数:44頭(全47頭のうち譲渡決定の2頭と獣医師により手術不可と診断された1頭を除く)
協働ボランティア:なし
申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)
- 3~4年ほど前、当事者が経営するお店に入り込んできた野良猫を飼い始めた。そのあと、また野良猫が1頭お店に入り込んできたため飼い始めたところ、それぞれがオス・メスであったため、増えてしまった。
- 近隣住人から市へ猫の悪臭相談があり発覚。市に相談が来る約2年前にも同様の相談が県動物指導センターにあり、その際はセンターで一部の猫を引き取って譲渡に繋げたほか、雌雄を分けての飼育と残った猫の不妊手術を指導していた。現在、最後の指導から約1年半が経過している。
- 当事者は雌雄を分けて飼育していたが、一時的な接触により繁殖したとのことで当時より頭数が増えている。金銭面やこれまでの経緯を考えても、当事者による早急な対応は見込めないと判断したため申請を決定した。
- 当初は50頭(うち1頭は手術済)の申請だったが、支援時に47頭(全頭未手術)と判明。チケットによって手術済みとなったのは44頭である。未手術3頭のうち、2頭は譲渡が決定し新しい飼い主が不妊手術を行うこととなっている。もう1頭は、獣医師の判断により持病のため手術不可となった。この猫は他の猫と隔離され、別の階で療養している。
- オスのマーキングによる臭いの軽減が期待されるほか、チケットによってノミ駆除やワクチンも受けることができ、猫たちの健康状態の改善につながった。
- 全頭不妊手術済みとなったことで雌雄を分けて飼育する必要がなくなった。これ以上繁殖することはないため、頭数増によって猫の飼育スペースが狭まることもなくなった。
- 当事者および猫はこのまま同じ場所に住み続けるが、順次譲渡を進めていく。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
11月14日 | 12 | 0 | 0 | 12 |
11月21日 | 0 | 12 | 0 | 12 |
11月28日 | 6 | 5 | 0 | 11 |
12月5日 | 5 | 4 | 0 | 9 |
計 | 23 | 21 | 0 | 44 |
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
近隣住民からの悪臭相談を受け、その日から県動物指導センターと連携し、対応を開始した。なかなか当事者とお会いできる機会が得られなかったが、約1か月後に全頭手術の同意が得られ、そこからはスムーズに協力いただけた。
2頭は譲渡が完了したが、まだまだ頭数がいるため今後も新しい飼い主探し等の支援を続けていきたい。
どうぶつ基金スタッフコメント
今回、東松山市は実にスムーズに対応しています。協働するボランティアはなく市自身が対応していますが、全頭不妊手術済みとなり、解決に向けて大きな一歩を踏み出しました。少しずつでも譲渡が進み、すべての猫にとって穏やかな暮らしが訪れることを祈りたいと思います。
今回の事案で感じたこと、それは「県動物指導センターは何のために存在しているのか」ということです。
県動物指導センターは、約2年前に当事者宅がすでに多頭飼育崩壊であること(もしくは崩壊する危険性があること)、近隣住民の生活に大きな影響が出ていることを認識していました。にもかかわらず、当事者への指導や状況確認を継続せず約1年半も放置。その間に現場の猫は繁殖し頭数が増えています。これでは何のための動物指導センターか分かりません。
埼玉県の動物指導センターのホームページには、「人と動物が共存できる豊かな社会をめざし、動物愛護・動物福祉の精神や他者との共感を育むための啓発活動、正しい動物との飼い方・接し方の啓発活動など、さまざまな事業を行っています。」と書かれています。
支援後の写真を見る限り、まだまだ飼育環境の改善が必要です。県動物指導センターには、上記の言葉が絵空事にならないよう、今後も当事者に対して正しい飼い方を指導すること、状況確認を継続することを強く希望します。