36_鹿児島県いちき串木野市多頭飼育救済支援レポート(行政枠) 

申請No.36
申請日:2022年10月26日
申請/実施責任者:いちき串木野市 市民生活課
場所:鹿児島県 いちき串木野市
居住者:当事者本人(59歳、女、無職)
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護の受給状況:受給予定(相談中)
多頭飼育現場の猫の総数:14頭
手術日:11月1日、11月4日、11月15日、11月16日、11月18日
協力病院:森の動物病院
チケット発行数:14枚
手術頭数:7頭(7頭がすでに手術済みであったため)
協働ボランティア:NAO、さつま・しっぽの会、くるくるいちご

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

  1. 6年前に1頭のメスの子猫を自宅前で保護した。
  2. 室外に出すつもりはなかったが、当時同居していた当事者の兄が猫に虐待をしており、外に逃げ出すようになった。
  3. 1頭の猫が出産を繰り返し、その子猫も出産して…という具合に繁殖が加速。当事者も触れない猫が増え、経済的な余裕がないため不妊手術もできず、どんどん猫が増えて多頭飼育崩壊に陥り、劣悪な環境により生まれた子猫が捕食対象になっていた。
  4. 近隣住民から糞尿被害やノミ被害の相談が市に寄せられたことにより本件を把握。その後、ボランティアからも多頭飼育崩壊の疑いがあるとの連絡を受けて現場を確認した。
  5. 室内飼育や糞尿被害について文書による指導を複数回実施。しかし、当事者のみで解決することは難しく、近隣住民からの苦情と当事者への対応に苦慮していたところ、個人ボランティアからどうぶつ基金の支援制度を教えてもらい、さらに協力の申し出があったため申請を決定。
  6. 14頭で申請を行ったが、実際は7頭がすでに手術済み(耳カットあり)であった。残る7頭のうち4頭も手術済みであったが目印がなかったため耳カットのみを実施。3頭が不妊手術を受けた。14頭の猫は今後も当事者がお世話を継続する。
  7. 支援に際して清掃活動が行われた。人が歩くスペースができ悪臭も軽減。また、トイレの場所が綺麗になり、現在は猫砂等も補充されている。飼育環境が改善されたことにより猫のストレスも軽減している。
手術日 オス メス 耳カットのみ
11月1日
11月4日
11月15日
11月16日
11月18日
2 1 4 7
2 1 4 7

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
今回初めて多頭飼育救済支援を行いましたが、想像以上に居住空間や飼育状況が芳しくなく、頭数確認や清掃活動に時間を費やしてしまいました。また、頭数確認の際に天井や床下に逃げられ、正確な頭数を報告できなかった点は改善しなければならないと思います。無料不妊手術チケットとボランティアの協力がなければ、多頭飼育崩壊がますます進行するところでした。大変ありがたく感謝いたします。


どうぶつ基金スタッフコメント
当初14頭で申請がありましたが、実際には11頭が手術済みでした(うち4頭は耳カットなし)。多数の猫が手術済みであった経緯を確認してみると、以前に別のボランティアが支援に入っていた現場のようです。全頭の手術を完了しないまま撤退した理由については不明ですが、あと一歩のところで中断されたことは猫にとって不幸なことでした。
民間のボランティアのみで多頭飼育崩壊に関与することには、所有権の問題や敷地への立ち入りの問題、当事者への福祉や精神的ケアの視点が抜け落ちてしまう、当事者とボランティア間の感情のもつれ等、さまざまな問題があります。かねてから申し上げていますが、多頭飼育崩壊は動物と当事者の両方を支援しなければ真に解決しません。だからこそ、地元行政の協力が必要。本件のような成功例を1件ずつ積み上げていき、解決方法のスタンダードを作っていくことが重要になってきます。


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