34_兵庫県尼崎市動物愛護センター多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.34
申請日:2022年10月18日
申請/実施責任者:尼崎市動物愛護センター
場所:兵庫県 尼崎市
居住者:当事者本人(72歳、女性、無職)弟(68歳、男性、無職)
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護の受給状況:受給している
多頭飼育現場の猫の総数:12頭
手術日:11月2日、13日
協力病院:北摂TNRサポート のらねこさんの手術室
チケット発行数:12枚
手術頭数:12頭
協働ボランティア:個人ボランティア
申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)
- 1998年(24年前)に自宅に迷い込んだ子猫を飼い始めたことから猫との関わりが始まり、その後、次第に外猫に餌を与えたり、猫を拾ってくるようになった。
- 当初から不妊去勢手術をしていなかったため、外猫との接触により繁殖し子猫が生まれていたが、雌雄の住み分けによってある程度管理できる頭数を保っていた。
- しかし、2年ほど前にオスメスの判別を誤って繁殖を制限できなくなった。生活に追われるなかで管理も困難となり多頭飼育状態に陥った。
- 生活保護担当部局から情報提供があり、多頭飼育状態であることを把握。
- 適正飼養や室内飼育の徹底を指導するも、当事者は不妊手術費用を捻出できるだけの経済的余裕がなく、親族等の支援を受けることも難しいことから申請に至る。
- 12頭全頭が手術済みとなり、今後も当事者が飼育を継続する。
- 堆積していた糞とゴミを清掃し、新たにトイレを3か所設定した。手術後も猫の健康状態に変化はなく、発情によるストレスが改善された。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
11月2日 | 3 | 7 | 0 | 10 |
11月13日 | 2 | 0 | 0 | 2 |
計 | 5 | 7 | 0 | 12 |
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
今回、当事者が面倒を見ていた猫を全頭手術したことで、頭数の増加を抑制することができた点については非常に良かったと考えている。また、今回の不妊手術が当事者にとって猫の世話について考えるきっかけとなり、トイレの数や清掃回数の増加につながった。
しかし、当事者の不妊手術に対する意識の低さや、屋内外飼養を完全室内飼養に改善することの困難さを目前にし、TNRを含めた猫の繁殖制限と完全室内飼養の社会浸透が改めて必要であると感じた。
どうぶつ基金スタッフコメント
不妊手術をしないまま室内外を自由に行き来させる、そのようなことを続けていれば猫の数は爆発的に増加します。本件の現場の猫の総数がたった12頭であることが逆に不自然に感じるほど、猫の繁殖力は強いのです。当事者は雌雄の住み分けを実施していたようですが、この方法は「やらないよりやる方がマシ」といった程度の効果しかありません。
多頭飼育崩壊を防止するには、2頭以上の犬や猫を飼育する場合は必ず不妊手術をすること、猫の場合は室内飼育を徹底すること、そして何よりも飼い主が自分自身の飼育能力の限界を知ることが必要。しかし、このたった3つのことが未だに「当たり前」にならないのです。時に心が折れそうになりますが、社会に訴え続けていかなければなりません。