18_長野県木島平村多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.18
申請日:2022年7月20日
申請/実施責任者:長野県木島平村 民生課
場所:長野県下高井郡木島平村
居住者:当事者本人(61歳、男、大工)
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:36頭(当初は40頭と想定)
手術日:7月26日、31日、8月25日、9月18日
協力病院:しんけん動物病院
チケット発行数:40枚
手術頭数:27頭(妊娠していた猫、妊娠疑いの猫、生後2カ月の子猫の計9頭が未手術)
協働ボランティア:長野県動物愛護会北信濃支部
申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)
- 野良猫に餌をあげたことがきっかけで飼養をはじめた。最初は猫2~3頭程度を飼養。
- 室内外を自由に出入りできる状況で猫がたむろできる作業場があり、そこに集まってくる近所の野良猫にも餌をあげていた。
- 2年ほど前に多頭飼育崩壊の猫を2頭引き取ったが不妊手術はしておらず、近所の野良猫と交配し爆発的に猫が増えた。
- 2021年11月、近隣住民から役場に「以前から猫を飼っているが最近増えているようなので心配」との情報提供あり。保健所と訪問したところ20~30頭ほど猫がいることを確認。当事者自身も頭数を把握していなかった。
- 保健所のホームページで里親募集を行うなどして譲渡を進めて頭数を減らすこと(これまで2頭を譲渡)や不妊手術を行うよう指導したが、当事者はコロナ禍で大工の仕事がなくなり、猫の餌代だけで精一杯のため手術代を用意できないとの返答があった。
- その後、当事者が死亡し猫を飼育する者がいなくなってしまった。愛護団体やボランティアと協力して全頭譲渡を目指しているが、当事者の親族も不妊手術費用の捻出は難しい状況である。そこで、まずは不妊手術を早急に実施して繁殖を制限したうえで里親探しに取り組みたいと思い申請に至った。
- 当初は40頭で申請していたが実際には36頭であったことが判明、そのうち27頭についてチケットによる不妊手術を実施。妊娠していた猫、妊娠疑いの猫、生後2カ月の子猫の計9頭が未手術となった。
- 当初は当事者宅をきれいにして飼育を継続する予定であったが、一人暮らしであった当事者が亡くなってしまった。親族による継続飼育は難しく36頭のうち32頭をボランティアが保護。
- 残る4頭については、当事者宅近辺で地域猫として近隣住民がお世話を行うこととなった。行政にて餌やりさんがいることを確認済み。
- ボランティアが保護した32頭のうち、すでに27頭は譲渡もしくはトライアル中とのこと。まだ譲渡先が決まらない猫については、ボランティアにて保護を継続する。未手術の成猫については、時期をみてボランティアの費用負担で不妊手術を実施。子猫については里親にて手術予定である。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
7月26日 | 1 | 4 | 0 | 5 |
7月31日 | 2 | 3 | 0 | 5 |
8月25日 | 10 | 6 | 0 | 16 |
9月18日 | 0 | 1 | 0 | 1 |
計 | 13 | 14 | 0 | 27 |
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
本件のような多頭飼育救済に伴うノウハウが不足しており、行政としてすべき行動が遅れてしまった。
これからは、事前に地域と密着して多頭飼育者や予備軍の方へのケアを欠かさないようにし、不妊手術への関心をより強く持って早期発見・早期解決に努めたい。
どうぶつ基金スタッフコメント
当事者が亡くなり、当事者の親戚も飼育を引き継ぐことや不妊手術費用の負担がが困難なケースでした。36頭の猫が行き場を無くすところでしたが、行政や地元ボランティアの尽力によって命をつなぐことができました。4頭のみ、地域猫として当事者宅周辺で今後も暮らします。近隣に餌やりさんがいて終生お世話を継続することを行政が確認しており、この子たちは新しいお家には行きませんが、住み慣れた場所で生涯を終えることができそうです。
今回、行政と協働していたボランティアの判断で妊娠および妊娠疑いの猫4頭が未手術のまま保護されました。どうぶつ基金の無料不妊手術チケットを使用する場合、現場の猫は全頭手術が原則であり妊娠している猫は堕胎を行います。堕胎に対して賛否があることは承知していますが、チケット使用のルールは遵守いただくよう注意と申し入れを行いました。