キャンドルナイト

12月22日

今夜、北半球は冬至、一年で一番夜が長い日です。
冬至の反対語は夏至、南半球のオーストラリアやフォークランド諸島では
これが反対になり今日は夏至です。

そんな特別な2つの夜に電気を消して
ろうそくの灯で夜を過ごそうと始まったのが
「1000000人のキャンドルナイト」です。

ろうそくに灯された愛する人達と静かに過ごすロマンチックな夜、
実はSDGsを実現するための行動だったんです。

呼びかけ人の一人、マエキタミヤコさんに詳しく教えてもらいましょう。

できれば部屋の電灯を消して
「1000000人のキャンドルナイト」に参加しながら
読んでいただければ幸いです。

では、素敵な夜を

どうぶつ基金理事長 佐上邦久

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1000000人のキャンドルナイト

でんきを消して、スローな夜を。

もう20年も前になりました。
2003年の夏から、夜の8時に一斉に電気を消しましょう、と呼びかけた、
1000000人のキャンドルナイト。
ひゃくまんにんのキャンドルナイト、と読みます。


電気を消す事で、
文明から一歩距離を取り、自分の行動を客観的に見直す。

自分の習慣や日常や癖が、
自然環境に重い負荷を与えてないか、考える。

少し立ち止まって、考える。
本当に大切なものを考える。
なくていいもの、ないと困るものを考える。
どんな世界がいいか、考える。
自分に何ができるか、考える。


そんな、考える時間を持とう、と呼びかけたのが、
1000000人のキャンドルナイト。

日本で初めての、一般市民が言い出しっぺの、
大規模な環境文化運動になりました。

言い出しっぺは誰でもいい。
言い出しっぺの許可なんかいらない。
みんなが勝手にやり始める。
なんだか楽しくなって、結果、自然環境を大事にする人が増える。
そういう作戦。


これね、言い出しっぺが、
無名の一般市民たちだ、っていうところがミソだったんです。

みんな、本当は変えたかったんです。
だって、変えないと、人類は続いていかないんだから。
でもどうすればいいか、わからなかった。
こうしよう、と大号令をかける人はことごとく間違っていた。
だったら、みんなでそれぞれ考え、いろいろやってみて、
その中からうまくいくものを残していくしか、ないでしょう。


というわけで、買い物でレジ袋を断って自分のエコバッグに入れたり、
水筒やお箸を持ち歩いたり、食べ物を残さないように気をつけたり。
もちろんそれも大事だし、それ以上に、新しい仕組みを提案したり、作ったり。
こっちも、ますます大事になってきました。


2001年にキャンドルナイトが始まって10年目、大震災と原発事故が起きました。

実はキャンドルナイト、始まりは電気、それも原子力発電について、
それでいいのか考えようよ、というところから始まったのでした。


カレ・ラースンというカナダでアドバスターズという雑誌を作っている人が、
提案していたカルチャー・ジャムという文化運動の一環として、
世界に原子力発電の是非を問いかけたのでした。

そのメッセージを受け取った明治学院大学の辻信一さんが、
どうしたら日本でより多くの人に環境問題を考えてもらえるだろうと工夫して、
夜8時になったら一斉に電気を消す、という巨大な共同作業を思いつき、
大地を守る会の 藤田会長に、一緒にやりませんか、とお誘いをかけたのでした。


だから10年目に原発事故が起き、
私は人生で一番大きなカルチャーショックを受けました。

人間の文明をいったん立ち止まって考えるキャンドルナイトを呼びかけていたので、
原子力発電という、便利だと言われていたモノの正体を知ることができました。
知るための勉強会を開くことができたからです。

議員会館の勉強会でわかったのは、原子力発電で電気を得るということは、
利にも理にも適(かな)っていなかった、ということでした。
安くもないし、安全でもなく、処理できないゴミは増える一方で、
事故が起きたらひどい目に遭う、ちっとも持続可能ではない発電方法だった。
なのに、そのことを知ったあとでも、私たちの社会はそれをパッとやめられない。
もう事故から10年経っているのに。
なぜなんだろう。

私は今もこの自分の問いの中で足掻くように暮らしています。

経済だけだったら、とっくに止めているのにな。
原子力発電の採算が合わないことは、計算すればすぐに出てくる。
とすれば、政治と法律が、うまくいっていないんだろうな。
民主主義と合意形成と政治選択は、どうすれば合理的になれるのかな。
どうすれば、もっと多くの人がしあわせになれるのかな。

1000000人のキャンドルナイトは、
なんで、100万人のキャンドルナイトじゃないの?

数字の意味は実は小さく、あなたを含むたくさんのという意味で、
ゼロゼロゼロがいっぱい続いているようにしたい。
最初の年、メインビジュアルをお願いした
グラフィックデザイナーの葛西薫さんが、そう言って、
ろうそくの炎をいっぱい手書きで書いてくださいました。

それは、まさしく、1000000人のキャンドルナイトに宿った
市民の運動のスピリット(精神)を反映したシンボル(記号)でした。


市民、という言葉がわかりにくければ、
ひとりひとりの、と言い換えてもOKです。

あ、そうそう、1000000人だって、書くのめんどくさい、という時は
もちろん100万人にしたってOKです。自由です。
好きな名前をつけても、なんでも、OKです。

社会運動の、表現って、名前って、面白いでしょ。

1000000人のキャンドルナイトは、いつでも誰でもどこでもできる、
自発的で多様なのに一貫性のある、アクションです。
ろうそくの灯で、お風呂に入ったり、
子どもに絵本を読んであげたり、ワインを飲んだり、
意見が違う人たちでも一緒にできる、自発的で多様な、時間の共有。

一貫性は、夏至と冬至の夜8時から一斉に、というところから。
声をかけ、ぱちっとスイッチを切るタイミングを合わせるだけで、
私たちはひとりじゃない、ひとりじゃ敵わないことだって
成し遂げられることがわかります。

社会変革って、そんなにむずかしくないんだな。
みんなが、やってもいいよ、それっていい考えだよね、と思えば、
すぐにできる、んですよね。

変えられない、となぜだか思い込んでいる人に、よく会います。
そんな時は、そうでもないよ、とやんわり言います。
変えられない、と思うのは、疲れている証拠。
ひとは生きていれば疲れることもあるので、休み休み。
疲れちゃダメ、がんばれ、なんて言わないで。
逆に、休んで休んで、と言ってください。
ひと休みして、元気がでたら、変えるところを変えましょう。
大丈夫、1億2千万人もいるのだもの。


よく観察して、見張って、おだやかに意見を言い続ければ、
きっと明日は今日より良くなります。

文責 マエキタミヤコ

あなたのご寄付が、地球を守ります。
知ることは、アクションの始まりです❣
https://www.doubutukikin.or.jp/contribution5/

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