鹿児島県に「環境省に与えた奄美大島のノネコに対する有害鳥獣捕獲許可の取り消しを求める要望書」に対する回答について公開質問状を送りました

どうぶつ基金が鹿児島県に対し行っていた「環境省に与えた奄美大島のノネコに対する有害鳥獣捕獲許可の取り消しを求める要望書」の回答が8月28日付けで届きました。(元の要望書はこの回答の下にあります)

回答内容は、私たちの要望や質問に対して全く回答になっていませんでしたため、原文のまま公開するとともに、新たに公開質問をいたしました。


 

公開質問メール

鹿児島県知事殿
環境林務部 自然保護課 野生生物係殿

公益財団法人どうぶつ基金 理事長 佐上 邦久
NPO法人ゴールゼロ  代表 斉藤 朋子

 

令和元年8月28日付でいただきました「環境省に与えた奄美大島のノネコに対する有害鳥獣捕獲許可の取り消しを求める要望書」に対する回答につきまして、質問の回答になっていない部分や新たな疑義について改めて公開質問および要望をさせていただきますので、質問に足しして一つ一つ誠意を持った回答をお願いします。

●質問1
貴殿の回答は「世界の侵略的外来種ワースト 100」にも選ばれているという総論です。
有害鳥獣捕獲許可を与える際は、当然許可申請地域について各論で審査されるべきです。
「奄美大島の森林内においては,ノネコの目撃頻度が増加し,ノネコの森林内での繁殖や希少種の捕殺も確認されるなど,ノネコによる希少種への影響防止が課題となっています。」という回答について、
1、「ノネコの目撃頻度が増加し」について、いつの時点と比べて、どれぐらい目撃頻度が増したのかについても明確な調査に基づく結果を数値で示し、その数値が「ノネコの生息数を低下させる必要があるほど強い被害がある」もしくは「ノネコの生息数を低下させる必要があるほど強い害性があると認められ、被害の恐れがある」ということを説明してください。

●質問2
環境省はこれまで、アマミノクロウサギの奄美大島での推定生息数について、2003年度時点で2,000~4,800頭としてきました。今回の管理計画策定にはこの生息数が用いられており、2015年時点で既に同省が把握していた推定生息数15,221~39,780頭は全く配慮されていません。一方で2003年から2015年の12年間、環境省の奄美大島における「ノネコ捕獲モデル事業」で捕獲した、いわゆるノネコの数が2012年7頭、2013年6頭に過ぎないという事実は、猫がアマミノクロウサギの生息にとって全く脅威になっていないことを明証しています。

アマミノクロウサギの増加原因は捕食者のマングースの駆除などが奏功したとみられ環境省は23年度までに、今より絶滅の危険度が低いランクに見直すことをめざしていることからも、奄美におけるノネコの有害鳥獣捕獲許可は不適切です。

また証拠として添付された「猫がアマミノクロウサギをくわえている写真」は「ノネコの生息数を低下させる必要があるほど強い被害がある」もしくは「ノネコの生息数を低下させる必要があるほど強い害性がある」ことの証明にはなりません。

また、アマミノクロウサギ以外の動物に関しても。2016年度奄美希少野生生物保護増殖検討会で石田 健委員(東京大学大学院農学生命科学研究科 准教授 当時) が次の発言をしています。

〈ひとつ重要なことはアマミノクロウサギにしてもケナガネズミにしてもトゲネズミにしてもオオトラツグミにしてもアマミヤマシギにしてもアマミイシカワガエルやアマミハナサキガエルにしても、マングースをしっかりと防除して、あるいは国立公園を作り、森林は林業が衰退してあまり伐らなくなっているので、回復しているのです。世界中が見ても私が見ても奄美大島は素晴らしい成果が出ていると思います。そういう成果があがっているところで、むやみに猫の問題を過大に問題視する必要はない。(中略)特に世界自然遺産の登録の時に過大に問題を表沙汰にするというのは、あまりよいことではない。誰も得しない〉(2017年2月18日の議事録)

上記、石田委員の発言は、「ノネコの生息数を低下させる必要があるほど強い害性がない」ことを明証しています。このことから考えても、今後被害が顕在化とは考えられません。

にもかかわらず奄美のノネコが「ノネコの生息数を低下させる必要があるほど強い被害がある」もしくは「ノネコの生息数を低下させる必要があるほど強い害性があると認められ、被害の恐れがある」という理由を明確な調査に基づく結果を数値で示し説明してください。

●質問3
A, 鹿児島県が環境省に与えた奄美大島のノネコに対する有害鳥獣捕獲許可に基づいて、捕獲された猫は 下記動物愛護管理法44条4-1の愛護動物にあたると考えられますがいかがでしょうか。鹿児島県の見解をご回答ください。

B, 同捕獲許可に基づいて誤捕獲された「アマミノクロウサギ」「ルリカケス」など150頭以上の動物は捕獲された時点で、人の占有となり同44条4-2の愛護動物になると考えられますがいかがでしょうか。鹿児島県の見解をご回答ください。

C, 愛護動物である、捕獲された猫(いわゆるノネコを含む)や、占有され愛護動物になった「アマミノクロウサギ」「ルリカケス」などの動物を、健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束すること、あるいは給餌もしくは給水をしない状態で衰弱させる行為は、同法7条および同44条違反に当たると考えますがいかがでしょうか、鹿児島県の見解をご回答ください。

●質問4
環境省および委託業者は本有害鳥獣捕獲許可を乱用して、道路占有許可及び道路使用許可を得ずに、旧国道58号線上(瀬戸内町道網野子峠線 期間7/10-8/1)に多数の捕獲器を無許可で設置して道路を占有し違法に捕獲作業を行っていました。

どうぶつ基金が行った実証実験によると捕獲器内の温度は54.8度になりました。環境省によるとノネコ捕獲ワナのチェックは1日1回です。灼熱地獄の様な捕獲器の中で24時間以上放置されることもあります。

捕獲器が設置された旧国道は土砂やごみを積んだダンプカーが走り、砂埃が待っています。晴れの日も局地的で激しい雨や嵐が多く発生します。そうなるとアスファルトからの蒸気で湿度があがり、捕獲器内はさらに危険な状態になります。

この捕獲器にはこれまでノネコ以外に飼い猫や、アマミノクロウサギなどの野生動物が150頭以上も誤捕獲されています。

熱中症で死亡する可能性の高い高温の捕獲器内に放置された動物たちのことを想うと怒りと悲しさと、同じ地球に生きるヒトとして動物たちに申し訳ない気持ちで一杯になります。

通常、動物愛護団体が猫を捕獲する際は、捕獲器設置中はずっとみまもるのが常識です。猫や動物を熱中症で死亡する温度下に、水もエサも与えず放置することは残酷な虐待行為です。
上記については前回の要望書等を通じて知事に報告をしていますが、本件について刑事訴訟法第239条第2項に基づいた対応をされましたでしょうか。どのような対応をされたかを具体的にご回答ください。また、今後どのように対処されるか、それとも一切対応しないのかをご回答ください。

●質問5
貴殿の回答には「ノネコの森林内での繁殖や希少種の捕殺も確認される」とありますが、
1000年以上前から、遅くとも西暦1850年以前から奄美に生息しアマミノクロウサギやケナガネズミやトゲネズミやオオトラツグミやアマミヤマシギやアマミイシカワガエルやアマミハナサキガエルや食物連鎖の頂点にあるハブなどと食物連鎖を繰り返し、今の生態系を育んできた奄美のネコにその生息数を低下させる必要があるほど強い害性があるとは考えられません。
「ノネコの森林内での繁殖や希少種の捕殺も確認される」ことが、「ノネコの生息数を低下させる必要があるほど強い被害がある」もしくは「ノネコの生息数を低下させる必要があるほど強い害性があると認められ、被害の恐れがある」ということを、ノネコの捕食によって希少種が減少していること、その因果関係を数値で示して説明してください。

●質問6
環境省に与えた奄美大島のノネコに対する有害鳥獣捕獲許可の取り消しを行うのか否かについて明確にご回答ください。

なお、知事におかれましては、本件に関するご回答を下記あてにEメールにて9月15日までに、いただきますようお願いいたします。

公益財団法人どうぶつ基金理事長 佐上邦久 宛

contact@doubutukikin.or.jp

 


「環境省に与えた奄美大島のノネコに対する有害鳥獣捕獲許可の取り消しを求める要望書」の回答

 

公益財団法人 どうぶつ基金 理事長 佐上 邦久 様

NPO法人 ゴールゼロ 代表 斉藤 朋子 様

 

鹿児島県 環境林務部 自然保護課 野生生物係

 

令和元年8月5日付けで要望のあったことについて,別添のとおり回答します。

奄美大島の森林内においては,ノネコの目撃頻度が増加し,ノネコの森林内での繁殖や希少種の捕殺も確認されるなど,ノネコによる希少種への影響防止が課題となっています。

ネコは,国際自然保護連合の種の保存委員会が作成した「世界の侵略的外来種ワースト 100」にも選ばれ,世界的にも特に生態系被害が深刻な種として位置づけられています。また,「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト(生態系被害防止外来種リスト)(環境省,農林水産省 2014)」においても,ノネコは総合的な対策が必要な外来種,かつ特に緊急性が高く,国,地方公共団体,国民など各主体がそれぞれの役割において積極的に防除を行う必要がある緊急対策外来種に分類されています。

「外来種被害防止行動計画(環境省,農林水産省,国土交通省 2015)」では,侵略的外来種の侵入・定着が確認された場合には被害が顕在化する前に対応する方が,被害が顕在化してから対応するのに比べ,はるかに効果的であり,生態系等に与える影響も少なくてすみ,さらには駆除等が必要な個体の数も最小限に抑えることができることから,早期に迅速に防除を図ることが重要であるとしています。

奄美大島においては,このような考え方のもとに,鹿児島県としても,環境省,奄美大島5市町村と連携し,「奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画」に基づいた取組を進めているところです。

鹿児島県からの回答はここまで


以下は8月5日付で送った要望書です。

 

鹿児島県知事 三反園 訓 様

公益財団法人どうぶつ基金

理事長 佐上 邦久

NPO法人ゴールゼロ

代表 斉藤 朋子

 

環境省に与えた奄美大島のノネコに対する有害鳥獣捕獲許可の取り消しを求める要望書

 

猛暑の候、知事におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。

さて、表題にありますとおり、鹿児島県が環境省に与えた奄美大島のノネコに対する有害鳥獣捕獲許可の取り消しをご要望申し上げます。

理由は以下の通りです。

許可権者である鹿児県知事が申請者である環境省にノネコの有害鳥獣捕獲許可を与える際には、被害の状況及び防除対策の実施状況を的確に把握した結果、被害等が生じており、原則として防除対策によって被害が防止できないと認められ「ノネコの生息数を低下させる必要があるほど強い被害がある」もしくは「ノネコの生息数を低下させる必要があるほど強い害性があると認められ、被害の恐れがある場合」という条件が満たされている必要があります。

申請者である環境省は、「ノネコの生息数を低下させる必要があるほど強い被害がある」もしくは「ノネコの生息数を低下させる必要があるほど強い害性がある」ことを証明する根拠として「猫がアマミノクロウサギをくわえている写真」および「奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画(2018 年度~2027 年度)」を申請書に添付しています。

上記管理計画には、「希少種に及ぼすノネコの捕殺影響は甚大なものとなる可能性が高い」、「早急にノネコを生態系から排除する対策を講じなければ、在来生態系に大きな影響を及ぼすものと考えられる」などの判断が散見されますが、これらは科学的調査に照らして妥当性を欠いていることが明らかになりました。環境省はこれまで、アマミノクロウサギの奄美大島での推定生息数について、2003年度時点で2,000~4,800頭としてきました。今回の管理計画策定にはこの生息数が用いられており、2015年時点で既に同省が把握していた推定生息数15,221~39,780頭は全く配慮されていません。(添付書類1参照)

一方で2003年から2015年の12年間、環境省の奄美大島における「ノネコ捕獲モデル事業」で捕獲した、いわゆるノネコの数が2012年7頭、2013年6頭に過ぎないという事実は、猫がアマミノクロウサギの生息にとって全く脅威になっていないことを明証しています。

アマミノクロウサギの増加原因は捕食者のマングースの駆除などが奏功したとみられ環境省は23年度までに、今より絶滅の危険度が低いランクに見直すことをめざしていることからも、奄美におけるノネコの有害鳥獣捕獲許可は不適切です。

また証拠として添付された「猫がアマミノクロウサギをくわえている写真」は「ノネコの生息数を低下させる必要があるほど強い被害がある」もしくは「ノネコの生息数を低下させる必要があるほど強い害性がある」ことの証明にはなりません。

また、アマミノクロウサギ以外の動物に関しても。2016年度奄美希少野生生物保護増殖検討会で石田 健委員(東京大学大学院農学生命科学研究科 准教授 当時) が次の発言をしています。

〈ひとつ重要なことはアマミノクロウサギにしてもケナガネズミにしてもトゲネズミにしてもオオトラツグミにしてもアマミヤマシギにしてもアマミイシカワガエルやアマミハナサキガエルにしても、マングースをしっかりと防除して、あるいは国立公園を作り、森林は林業が衰退してあまり伐らなくなっているので、回復しているのです。世界中が見ても私が見ても奄美大島は素晴らしい成果が出ていると思います。そういう成果があがっているところで、むやみに猫の問題を過大に問題視する必要はない。(中略)特に世界自然遺産の登録の時に過大に問題を表沙汰にするというのは、あまりよいことではない。誰も得しない〉(2017年2月18日の議事録)

上記、石田委員の発言は、「ノネコの生息数を低下させる必要があるほど強い害性がない」ことを明証しています。

また週刊文春によると

「世界遺産の価値というのは、顕著で普遍的な価値といわれる。その一つにクロウサギをはじめとするこの地域にしか棲んでいない生き物というのがある。その数が増えていようが減っていようが、個体が食べられている。それ自体が世界自然遺産登録にマイナスになると我々は感じています」(環境省奄美野生生物保護センター)という発言が見られますが、こちらも有害鳥獣捕獲許可を与える要件を満たすことにはなりませんし「ノネコの生息数を低下させる必要があるほど強い被害がある」ことの証明にはなりませんので、全く無関係です。

また、環境省および委託業者の株式会社xxxxは本有害鳥獣捕獲許可を乱用して、道路占有許可及び道路使用許可を得ずに、旧国道58号線上(瀬戸内町道網野子峠線 期間7/10-8/1)に多数の捕獲器を無許可で設置して道路を占有し違法に捕獲作業を行っていました。

どうぶつ基金が行った実証実験によると捕獲器内の温度は54.8度になりました。環境省によるとノネコ捕獲ワナのチェックは1日1回です。灼熱地獄の様な捕獲器の中で24時間以上放置されることもあります。

捕獲器が設置された旧国道は土砂やごみを積んだダンプが走り、砂埃が待っています。晴れの日も局地的で激しい雨や嵐が多く発生します。そうなるとアスファルトからの蒸気で湿度があがり、捕獲器内はさらに危険な状態になります。

この捕獲器にはこれまでノネコ以外に飼い猫や、アマミノクロウサギなどの野生動物が150頭以上も誤捕獲されています。

熱中症で死亡する可能性の高い高温の捕獲器内に放置された動物たちのことを想うと怒りと悲しさと、同じ地球に生きるヒトとして動物たちに申し訳ない気持ちで一杯になります。

通常、動物愛護団体が猫を捕獲する際は、捕獲器設置中はずっとみまもるのが常識です。猫や動物を熱中症で死亡する温度下に、水もエサも与えず放置することは残酷な虐待行為です。

私たちの税金を使い危険で違法な捕獲作業を行う環境省および業務委託を請け負う株式会社xxxxxに、被許可者としての資格はありません。

1000年以上前から、遅くとも西暦1850年以前から奄美に生息しアマミノクロウサギやケナガネズミやトゲネズミやオオトラツグミやアマミヤマシギやアマミイシカワガエルやアマミハナサキガエルや食物連鎖の頂点にあるハブなどと食物連鎖を繰り返し、今の生態系を育んできた奄美のネコにその生息数を低下させる必要があるほど強い害性があるとは考えられません。

国民の悲願である世界遺産登録を確実なものにするためにも、奄美のノネコの有害鳥獣捕獲許可の取り消しをご要望申し上げます。

なお、知事におかれましては、本件に関するご回答を下記あてにEメールにて9月20日までいただきますようお願いいたします。

公益財団法人どうぶつ基金理事長 佐上邦久
contact@doubutukikin.or.jp