ノネコ管理計画の疑問点と問題点と提案

奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画
2018 年度~2027 年度

計画の中に、[個体については、飼養を希望する者への譲渡に努め、譲渡できなかった個体 は、できる限り苦痛を与えない方法を用いて安楽死させることとする]と記されています。つまりアマミノクロウサギなど固有種の絶滅を防ぐという理由から、ノネコを3,000頭捕獲駆除、譲渡できなかった猫を殺処分するというものです。

疑問点

アマミノクロウサギは本当に危機的状況?

天然記念物アマミノクロウサギ、天敵駆除(マングース)で増える 日経新聞

記事によると

  • 鹿児島県奄美大島で外来種マングースの駆除が進み、国の特別天然記念物アマミノクロウサギの数が回復傾向にあることが29日までの環境省奄美野生生物保護センターの調査で判明した。
  • アマミノクロウサギのふんの数などの調査によると、アマミノクロウサギは島内の各地域で増加。10~12年は、07~09年と比べて見つかるふんの数が5倍以上に増えたエリアもあった。

タンカンにクロウサギ食害 大和村 南海日日新聞

記事によると

  • 被害農園の一つを所有する60代男性は「2012年ごろから被害樹が見られるようになり、2年ほど前から急増した」と説明。
  • プロジェクト研究員は、マングースの防除などで生息環境が改善し、クロウサギの個体数に回復傾向がみられる。

*報道からアマミノクロウサギは確実に増え続けています。地域によって糞の量が5倍、クロウサギによるタンカン食害まで起きるほど増えているみたいです。
しかし、文部科学省、農林水産省、環 境 省によるアマミノクロウサギ保護増殖事業計画で発表されている、2003年に実施されたアマミノクロウサギの生息数調査を最後に、生息数調査は実施されていません。アマミノクロウサギの推定生息数調査を15年間もせずに、ノネコ管理計画は、無慈悲な3000頭もの猫殺処分を行うに足りる科学的根拠が乏しすぎます。

早急にクロウサギの生息個体数の調査を行い、本当に猫3000頭もの無慈悲な殺処分が必要なのかを再考する必要があります。

猫はいつから奄美大島にいたの?

  • ネコとアマミノクロウサギは、もう何百年間も、ともに島の環境で共存していた!

江戸時代の嘉永3(1850)年の薩摩藩士・名越左源太の「南島雑話」において、江戸時代当時の島の自然や人々の生活が詳細に記述されています。
それによると、島にはネコ(地元の方言でマヤ)が飼われている。というのも、人家にネズミが入り込み、そのネズミを狙ってハブがやって来るので、ネコにネズミを獲らせる為に大事にされているとのこと。ネコは自由に家の外と戸外を行き来し、特にオスネコは人家に居つかず、山(森林)に入っていき、野性化して生活している、と記されています。少なくとも江戸時代には、多くのネコが山の中に入って生活し、当然アマミノクロウサギなどの野生動物を捕食していた、ということになります。

1920年代くらいまで、アマミノクロウサギは人里に下りてきて畑の作物を荒らす害獣でした。そして、人々によって狩猟され食べられてきたほど数多く生息していました。

つまり、ネコとアマミノクロウサギは、もう何百年間も、ともに島の環境で共存していたのです。

参照資料 https://tenki.jp/suppl/kous4/2018/02/22/27902.html

アマミノクロウサギが絶滅の危機に瀕している原因は?

下記、表にあるように明かなアマミノクロウサギの死亡原因は交通事故が1位です!

  • 多くの希少種が人間によって生息域を奪われました。

    戦後の森林開発で奄美大島は島の70%が森林ですが、その森林のうち原生林はわずか3割。あとの7割は植林による人工林です。原生林に暮らすアマミノクロウサギは、人間によって生息域を奪われました。

  • マングースにより多くのアマミノクロウサギが捕食されました。
    1970年代、人間の連れてきたマングースにより多くのアマミノクロウサギが捕食されました。明らかに人災です。

  • マングースもアマミノクロウサギも人による被害動物です。

    https://tenki.jp/suppl/kous4/2018/02/22/27902.html

*マングースによる捕食もロードキルも生息域破壊も全て人による人災です。

奄美大島でよく見られる採掘場跡


ノネコの譲渡事業について

2018年7月17日ノネコの捕獲(環境省)がはじまりました。

捕獲されたノネコは、一時収容する施設「奄美ノネコセンター」(奄美市名瀬)に運ばれます。収容数は約50匹。

奄美市環境対策課長は「希少な生き物を守るためとはいえ、猫を犠牲にしないですむように飼い主を募りたい」と記事で紹介されていますが、実際は積極的な譲渡事業とは思えません。
南海日日新聞参照

情報公開がされていない。

  • 捕まったノネコの情報は、一切公開されません。(写真、動画、血液検査結果など)
  • 「奄美ノネコセンター」は見学できません。飼育スペース、給仕、医療全て不明です。

譲渡会が開催されていない。

平成25年、奄美野生生物保護センターでノネコの譲渡会を開催されています。その際、市民にノネコ全頭譲渡されています。http://amami-wcc.net/cat/

なぜ、ノネコ管理計画では同様にされないのか疑問です。

保護期間が短い。

ノネコは収容施設で1週間ほど譲渡先を探しながら一時飼育する。野生化して飼育が難しく数も多いため、引き取り手がなければ安楽死させる。新聞記事から

50匹を収容するスペースと人員がありながら、保護期間が1週間は短すぎます。環境対策課長は、猫の命を犠牲にしたくないと証言されていますが、時間的猶予をもたないと、譲渡は困難です。可能な限り保護期間をのばし生きるチャンスをノネコに与えてほしいものです。

他の地域との譲渡条件の比較

奄美大島 小笠原 御蔵島 天売島
管理者 奄美大島ねこ対策協議会 「人と海鳥と猫が共生する天売島」連絡協議会
個人への譲渡 あり
(団体へ譲渡する条件と同じ)

※現在は東京都獣医師会へのみ譲渡
あり
(飼養許可証明書を役場からもらうこと。証明書の提出は必要ない。)
あり
協議会メンバーの愛護団体の規定に沿っているが、証明書は不要で同意書のような形式。
譲渡先団体(順化に協力) 現在、3団体登録あり。 東京都獣医師会 東京都獣医師会 北海道海鳥センター(担当者が駐在)
道内の愛護団体(3団体)
酪農学園大学
旭山動物園
※北海道海鳥センターと愛護団体は協議会のメンバー

譲渡先団体へ譲渡する条件

誓約書、顔写真入り身分証明書、
納税証明書、所得証明書、飼育部屋概要
特になし 特になし 特になし
譲渡先団体へ譲渡後の条件 譲渡後の飼養状況の報告を1週間後、1ヵ月後、2ヵ月後、6ヵ月後、1年後に協議会へ行う。
やむを得ず新たな飼い主へ譲渡した場合は、速やかに譲渡完了報告書を協議会へ提出。
特になし 特にないが、譲渡先が決定したら、名前と住所を連絡してもらっている。 特にないが、協議会が連絡をした時に猫の様子を教えてもらえるよう、お願いしている。
公共施設でのノネコの一時預かり期間 1週間。(月曜に登録団体にメールで収容状況を知らせたのち、木曜日にマッチングできない場合は殺処分の可能性大。) 規定はない。
(半年以上、飼養したこともある)
規定はない。
(2か月程度飼養したことがある)
規定はない。
(2年弱飼養している猫もいる。現在も継続飼養のため期間更新中。)

徳之島にあるノネコセンター(ニャンダーランド)の場合

Q 譲渡を受けたいが、どうすればいいか?
A 誓約書を書いてもらうので印鑑を持ってきてほしい。
島民からは登録料の500円をもらっている。
島外の方からもらうかは、即答できない。

Q 必要書類や、譲渡を受ける条件は? HPに記載されているか?
A 必要なものは誓約書の記入と印鑑のみ。条件もない。
キャリーも返送してくれるなら貸し出すし、島内で購入することもできる。
以前はフェイスブックもやっていたが、色々な問題が生じたため1年前から更新していない。
HPも掲載していない。

Q 不妊手術済ですか?
A 不妊手術済み。

その他、
・譲渡を受けるのに、500円だけでよいのか。不妊手術代は?(はい。もらってくれればありがたい。500円も不要かも。)
・土日祝でも見学できるのか。(事前に連絡をくれたら、都合にもよるが午前は対応できるようにする。)
・予約の電話の時間は(役場の開いている時間である平日8:30~17:15。)
・60頭すべてノネコですか。(半ノネコもいる。民家と森が近い。行き来している猫もいる。)

ノネコノラネコ飼い猫なにが違うの?

ノネコとノラネコと飼い猫すべてイエネコです。

しかし、かかわってくる法律が違うみたいです。

ノネコ管理計画では

  • 飼い猫、ノラ猫には、動物愛護管理法で愛護動物とされています。
  • ノネコには、鳥獣保護管理法で狩猟鳥獣とされています。

では、「イエネコであるノネコは、愛護動物か否か」この質問に2018.8.29現在、環境省からは回答がありません。

*2018/9/14 環境省動物愛護室から回答をいただきました。

  • 森林の中で自立して生きているノネコは、飼い猫やノラ猫と同じイエネコであるが、動物愛護と管理関する法律に記されている愛護動物ではない。
    よって、ノネコ管理計画の中でノネコを駆除する行為は「動物愛護と管理関する法律」に抵触しない。

ノラネコとノネコの見分けはどうすればいいの?

  • ノネコとノラネコの見分けはとても難しいです。というのも、ノネコもノラネコも同じイエネコだからです。当然、見た目は同じです。
  • 環境省に聞くと
    >人の生活圏で餌をもらったりしている猫がノラネコ。
    >人に依存することなく野生動物を食べて自立している猫がノネコ。
    と説明を受けました。奄美大島のようにノラネコに餌やりを禁止していると、ノネコを増やす原因にならないか心配です。