26年度・さくらねこ無料不妊手術事業報告

26年度さくらねこTNR無料不妊手術事業報告

さくらねこ無料不妊手術事業では、飼い主のいない猫の問題を、殺処分ではなく不妊手術によって解決しようとする行政や、ボランティアさんから申請を受け、不妊手術のエキスパート獣医師を派遣する出張手術の実施と、全国の協力病院で使用可能な「さくらねこ無料不妊手術チケット」の発行を行いました。
平成26年度は23の行政、延べ950の一般グループと協働し、8,262頭のさくらねこTNRができました。
全国の協力病院、協働ボランティア、行政職員の皆様、そしてどうぶつ基金にご寄付をいただいた皆様に心よりお礼申し上げます。

公益財団法人どうぶつ基金
理事長 佐上 邦久

どうぶつ基金が不妊手術をした猫の数

H26年度 H16年~25年 累計
8,262匹 16,609匹

応募期間
一般枠 4月から2月まで 毎月/1日から5日
行政枠 年中受付
応募方法
一般枠 インターネットの申し込みフォーム
行政枠 指定用紙に書き込み郵送

※行政枠(地方公共団体)および準ずる団体(行政が管理する施設の管理者)
例)○○県公園管理協会、公民館など
※一般枠:行政枠以外のものを指す。

手術実施頭数


 

協力動物病院リスト

北海道
:よつば動物病院/新千歳動物病院
茨城県
:いながき動物病院/みどりの動物病院
栃木県
:柿沼ペット病院
東京都
:Moco動物病院/代官山動物病院/おおにし動物病院/えどがわ犬猫病院/聖マリアンヌ動物病院/湖畔どうぶつ病院/ハナ動物病院/三鷹獣医科グループ/きもと動物病院
神奈川県
:山口獣医科病院/明和動物愛護病院/まんぷく動物病院/コトブキ獣医科病院
まつうら動物病院
埼玉県
:堀動物病院/いながき動物病院
千葉県
:ときわだいら動物病院
愛知県
:しっぽ動物病院/ヤマヒロ動物病院/やませ動物病院
大阪府
:一犬猫病院/くすのき動物病院/ありす動物病院
京都府
:ゼロの会
奈良県
:はねペットクリニック

26年度に協働した自治体(計24)

行政(地方公共団体)および準ずる団体(行政が管理する施設の管理者、例:〇〇県公園管理協会、公民館など)

さくらねこTNR(TNR先行型地域猫活動)とは


どうぶつ基金は、1988年に設立されて以来、人とどうぶつが幸せに共生できる社会づくりに貢献してきました。
その中で,2005年から動物愛護事業の基軸として行っている「さくらねこ無料不妊手術事業」は「飼い主のいない猫」に対し「さくらねこTNR(Trap/捕獲し,Neuter/不妊去勢手術を行い,Return/元の場所に戻す,その印として耳先をさくらの花びらのようにV字カットする)」を実施することで,繁殖を防止し,「地域の猫」「さくらねこ」として一代限りの命を全うさせ,「飼い主のいない猫」に関わる苦情や,殺処分の減少に寄与する活動です。
どうぶつ基金では,従来型の地域猫活動では、話し合いをしている間に猫の頭数が倍増してしまい、当初の予算では実施できなくなってしまうケースや、公園や大学など、いわゆる“地域”が無いケースが多くあることを鑑み,「TNR先行型地域猫活動 」の推進を行い,広義の地域猫活動等の活動支援を行っています。

徳之島ごとさくらねこTNRプロジェクト

鹿児島県奄美群島の世界自然遺産登録への取り組みとして、徳之島3町からの申請を受け、行政と協働し、猫の捕食によるアマミノクロウサギ絶滅の保護措置のために、徳之島に生息する全ての猫(推定3,000頭)に、さくらねこ無料不妊手術を実施する一大プロジェクトが発足しました。

徳之島ごとさくらねこTNRプロジェクトって?

アマミノクロウサギは、いまや地球上で奄美大島にわずか4,000匹、徳之島にはたった200匹だけしかいなくなってしまい環境省も絶滅を危惧する生きた化石と呼ばれる珍獣です。
そんな中、島に住むねこがアマミノクロウサギを食べていることがわかりました。


もともと島には人もねこも住んでいませんでしたが、島に移り住んだ人たちが、いつの日かねこもつれて来ました。不妊手術をせずに放し飼いをして増えてしまった飼い猫はやがてノラ猫になって森に入り、クロウサギを食べるようになってしまったのです。わかっているクロウサギの死因の約90%は交通事故で犬や猫に食べられたことによる死亡は10%ほどですが、いずれにしてもこのままでは私たち人間のせいで地球上からアマミノクロウサギがいなくなってしまいます。「1000万年続いたアマミノクロウサギを私たちの世代が滅ぼしてしまった」なんて、申し訳ないではすまされません。かといって少なくなったクロウサギの命を守るために増えすぎた猫を殺すなんて残酷なことは心やさしい島の人たちにはとてもできません。そこで、徳之島では、みんなで、アマミノクロウサギとさくらねこ、どちらも殺さずに一緒に暮らせるしくみを作っていくことになりました。

徳之島ごとさくらねこTNRプロジェクト手術実績

オス メス 手術済み 合計
第1回一斉TNR* 250 283 4 537
第2回一斉TNR* 317 318 6 641
合計 567 601 10 1,178

※第1回一斉TNR2014/11/7~11/21 ※第2回一斉TNR 2015/1/25~1/31

治療等実績

【全頭実施(1,178頭)】
 ノミダニ回虫駆除(レボリューション)・ワクチン(フェロセルCVR)・補液・点眼
【特別医療(負傷猫)】
・ハブに噛まれた猫の傷口の洗浄と縫合 ・首輪による怪我の洗浄と縫合 12針
・膿の洗浄と傷口の縫合 ・肢怪我の洗浄と縫合 ・抜歯 ・ヘルニア治療 
・断脚 ・子宮筋腫治療 ・子宮蓄膿症治療 ・眼球摘出 

現場からの声


平成26年度に合計2回のTNR事業で約1,178匹の猫の避妊・去勢を行った。
ここは、鹿児島から南に約480㎞の小さな島。しかし約1000万年前からの先住動物「アマミノクロウサギ」や「トクノシマトゲネズミ」など、世界でここにしか生息していない動物や昆虫・植物など、多くの絶滅危惧動植物が島民と共生している。
近年、開発が進み先住の動物や植物の生息域が狭くなってきている。この人間による生活域の拡大に伴い、ノラネコや野犬の被害が深刻になってきた。世界自然遺産の候補地となっている奄美・琉球地域の中の「徳之島」という小さな島の大きな脅威として、その存在が大きくなってきた。そのような中で猫の脅威に対応する術(すべ)について、約3年前から関係機関において議論を尽くしてきた。しかし、これという有効な策がないまま、終始議論だけの問答に嫌気がさしてきたところに、どうぶつ基金という団体の情報を得た。早速連絡をとり、趣旨を理解していただくとともにその緊急性に共感していただき、対応していただいた。これまでに多くの処置数を上げることができ、すでにその効果が確認できるほどの状況になってきた。
奄美・琉球の世界自然遺産登録に向け、更なる脅威の回避に努めるとともに、子や孫にこの豊かな自然を受継ぎ、猫も犬も人間も住みよい世界自然遺産の島でありたい。

メディア掲載

 奄美日日新聞 2014年10月3日

どうぶつ基金と徳之島三町で「徳之島ごとさくらねこTNRプロジェクト」発足の合同記者発表を行いました。

 奄美新聞 2014年10月3日

26年度は11月~1月の間に2回の一斉TNRを実施し、1,178頭の不妊手術が完了しました。短期間に多くの頭数に実施することが重要です。

多くのメディアに掲載され、世界中からも注目が集まっています。

その他の掲載はメディア掲載ページからご覧下さい。

出張手術ボランティア募集中!

H26年度は14回の出張手術で、延べ13名の獣医師がボランティア参加してくださいました。

どうぶつ基金顧問獣医療責任者である山口獣医科病院長山口武雄先生と共に、絶滅の危機にあるアマミノクロウサギと猫と人の共生のために、志のある獣医師とAHTのボランティア参加をお待ちしています。
山口武雄:自身が開業する山口獣医科病院年間10000匹の猫に不妊手術を実施。2010年 動物愛護管理功労者として環境大臣表彰

獣医師・動物看護士・トリマーなどこちらからお申し込みください。
ボランティアは1日から参加できます。
徳之島ごとさくらねこTNRプロジェクト参加獣医師インタビュー

実施要領

「さくらねこ無料不妊手術事業」実施要項

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